
イタリアを始めヨーロッパのカトリック諸国ではクリスマスにプレセピオという、人形を飾る習慣があります。
12世紀に聖フランチェスコによって創始されたプレセピオは文字を殆ど読むことのできなかった当時の民衆に、キリスト教を理解してもらうために「キリスト生誕」、「羊飼いの礼拝」、「東方の三博士の礼拝] の場面を総合的に人形で再現したものです。
ルネサンス時代、この主題はキリスト教絵画の代表的な画題として多くの画家に描かれ、画家たちの豊かな想像力により、物語はさらに細かく、華やかに表現されてゆきました。
それ以降、プレセピオにも細やかな絵画表現が多く反映され、キリストを訪れる三博士に加え、キリストの生誕を知らせた羊飼いや、三博士の従者などがひしめき合い、華やかな祝いの場面として表現されるようになりました。
ヴェネチアでは19世紀後半からガラスによりプレセピオが制作され、様々な形式のものが残されています。
箱根ガラスの森美術館に収蔵されている作品は、ヴェネチアン・グラスの伝統的なレース・グラスやミルフィオリの技法で制作された20世紀初めの作品あり、ヴェネチアの職人の高度で卓越した造形力を表われています。
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