モザイク・グラス坏紀元前1世紀後半〜1世紀初頭(アドリア)
収蔵:アドリア国立考古学博物館
色鮮やかな青、黄、緑、白色のガラス棒と、螺旋状に捻じられたガラス棒を熔着して制作されたモザイク・グラス坏。2000年以上昔の作品とは思えない程の完成度の高さが見てとれる。アドリアから出土した古代ローマ時代のモザイク・グラスは、アドリア国立考古学博物館のほか、オランダのライデン国立古代博物館や、アメリカのコーニング・ガラス美術館などで所蔵されている。
古代ローマ時代のモザイク・グラス
人の手により作り出された“宝石”ガラスが生み出されたのは今から約5000年前の古代メソポタミアと言われています。陶器の表面を覆うガラス質の釉薬を扱う過程で発展していったと考えられ、初期はガラスのビーズや飾り板などの小型の作品が中心に制作されていました。
様々な色ガラスを熔着したモザイク模様のガラス容器が作られるのは紀元前15世紀頃。その後「ローマの平和」を実現する初代ローマ皇帝アウグストゥスの時世(紀元前1世紀頃)になると、高度に発達したモザイク・グラスが作られるようになり、ガラス制作は一つの頂点に達したのです。ガラス職人たちの試行錯誤により積み重ねられた知識によって、敷き詰めたガラス片を型の中で熔着する技法や、ガラスの種にモザイク・グラスの板を熔着して膨らませる吹きガラス技法が生み出されていきました。
宝石以上の魅力を放つ色鮮やかなモザイク・グラスは2000年の時を経てなお、古代ローマ時代の隆盛と、高度な技術力を今に伝えているのです。
箱根ガラスの森美術館 2013年特別企画展
─時空を超えた東西の技─「モザイク美の世界」
ヴェネチアン・グラスと里帰りした箱根寄木細工会期:4月20日(土)から11月24日(日)
posted by 箱根ガラスの森美術館 at 11:29
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