ゴールド・サンドウィッチ・グラス
(4世紀前半|出土地:アクイレイア)
「ゴールド・サンドウィッチ・グラス」とは、2層の透明なガラスに金箔図像を挟み込んだもので、紀元前3世紀頃のイタリアで出現した。紀元後3世紀半ばから4世紀末にかけてのローマのカタコンベでは、墓壁を塞ぐ漆喰部分に象嵌されていた例もある。図像には、当時の文化や社会、宗教を反映した家族の肖像や剣闘士、ギリシアの神々やキリスト教といった世俗的、宗教的なモチーフが表現された。この作品は、「岩打つ者」の典型的な構図で、画面左半分に若者姿で杖を持つモーゼが、右半分には入道雲のような曲線で岩山が描かれている。荒野で渇きを訴えたイスラエルの民のため、神の言葉に従ったモーゼが杖で岩を打って水を出した、旧約聖書に登場する奇跡の場面である。
2017年特別企画展 ─ヴェネチアン・グラス二千年の旅展─