箱根ガラスの森美術館

2023年02月18日

展示作品のご紹介:点彩扁瓶

展示作品のご紹介:点彩扁瓶
点彩扁瓶
(16世紀|ヴェネチア)

ラッティモと呼ばれる乳白色ガラスの代表的作品。16世紀特有のエナメル点彩と金彩が施された扁瓶で、同形式の透明ガラス作品も作られていた。扁瓶や扁壷はもともと聖地の聖水を汲んでくる巡礼瓶にその形式の源流があった。この扁瓶もイスラム・グラスの長頚扁壷の面影をとどめており、同様に点彩、外周のひれ飾りにもイスラムの影響の痕がみられる。この作品は、そういった面からも、ヴェネチアの16世紀を代表する作品の一つである。なお、乳白色ガラスは、中国の白磁への憧憬から、この頃より盛んにガラス製の模造磁器として作り出された。

展示作品のご紹介:点彩扁瓶
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2023年01月31日

写真展「坪谷 隆が写すカーニバルの世界」

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写真展「坪谷 隆が写すカーニバルの世界」
会期:2023年1月21日(土)〜3月31日(金)

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2023年01月26日

展示作品のご紹介:コメディア・デラルテ

展示作品のご紹介:コメディア・デラルテ
コメディア・デラルテ
(20世紀│ヴェネチア)

ヴェネチア伝統の仮面喜劇「コメディア・デラルテ」は、16世紀に成立した仮面を用いた即興劇で、カーニバルの時期になると、道端や広場で上演されてきました。劇中で使用する仮面は、それぞれ特徴があり、役者がどの役柄を演じているのか明確に決まっています。仮面をつけた役者は、様々な階級や職業の人々が巻き起こす喜劇をアクロバティックな演技とともに繰り広げました。18世紀に入り、劇作家カルロ・ゴルドーニが登場すると、その人気はさらに高まり、「コメディア・デラルテ」の登場人物の出で立ちは、ヴェネチア・カーニバルの仮装にも取り入れられました。
ひょうきんな顔をしたアルレッキーノは、金太郎飴のように模様の入ったガラス棒を切断し、そのパーツを貼り合わせることで、アルレッキーノの特徴である、つぎはぎだらけの衣装を表現しています。また、コロンビーナをはじめとする4人の人形たちはどれも表情豊かで、吹きガラスと熔着装飾技法が用いられ、躍動感があふれる様子が見事に表現されています。


春季所蔵作品展:「春を呼ぶヴェネチアン・グラス」〜カーニバルと春めく祝祭〜
会期:2023年1月21日(土)〜4月16日(日)


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2023年01月22日

展示作品のご紹介:トリック・グラス

展示作品のご紹介:トリック・グラス

トリック・グラス
(19世紀|ヴェネチア)

トリック・グラス、別名ジョーク・グラスとも呼ばれるこの作品は、宴席などで来賓を楽しませる余興の一環として使われたと考えられている。トリック・グラスには様々な種類があるが、このトリック・グラスは、器の中にガラスの管が取り付けられており、この管が隠れる量の液体を注ぐと、管の中の空気が水圧で押し出され、管からつながっている脚の部分の穴を通って、器の外に液体が流れ出てしまう仕組みになっている。

春季所蔵作品展:「春を呼ぶヴェネチアン・グラス」〜カーニバルと春めく祝祭〜

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2023年01月21日

春季所蔵作品展

春季所蔵作品展:「春を呼ぶヴェネチアン・グラス」〜カーニバルと春めく祝祭〜
会期:2023年1月21日(土)〜4月16日(日)
春の訪れを感じさせる華やかな装飾のヴェネチアン・グラスをご紹介致します。

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2023年01月06日

展示作品のご紹介:人物行列文壺

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2023年01月05日

展示作品のご紹介:メディチ家紋章文コンポート

展示作品のご紹介:メディチ家紋章文コンポート
メディチ家紋章文コンポート
(16世紀初|ヴェネチア)

エナメル彩で紋章と、縁取りの点彩文様を装飾したコンポートである。モール型を使って、縦稜線を吹き出し、右方向に回転しながら吹いたガラスを整えてゆくと、矢車状に稜線が出来上がる。これにラッパ状の高脚を付け、開口部を皿状に広げて完成させる。紋章はローマ教皇の三層宝冠を上部に配していることから、メディチ家出身の教皇レオ10世又はクレメンス7世のものと推定されている。これと同似の作品が数点現存していることから推測すると、教皇就任を記念して制作され、特定の人に配布された記念の高坏であったと考えられる。なお、このコンポートは高脚部分が欠失している。

展示作品のご紹介:メディチ家紋章文コンポート

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2022年12月30日

展示作品のご紹介:点彩花文蓋付ゴブレット

展示作品のご紹介:点彩花文蓋付ゴブレット
点彩花文蓋付ゴブレット
(1500年頃|ヴェネチア)

ピザンツ帝国にみられる杯の形と、シリアなどイスラム文化圏で用いられたガラス顔料によるエナメル彩技法が取り入れられた蓋付坏。地中海貿易で隆盛を極めたヴェネチア共和国と、その周辺国との交流を象徴する作品の一つ。濃紺のガラス地に、エナメル彩、金彩の装飾が施され、一見、重厚な作りの器に見えるが、坏の部分は吹きガラス技法で薄く吹いて制作されている。“まるで羽根のように軽い”と表現される、ヴェネチアン・グラスの特徴を備えた逸品と言える。

展示作品のご紹介:点彩花文蓋付ゴブレット

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2022年12月22日

展示作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート

展示作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート
ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート
(16世紀末-17世紀初|ヴェネチア)

この作品は、ダイヤモンド・ポイント彫りの代表的な一例で、草花文様とヴェローナのヴァンジェリスティ家の家紋が彫刻されている。
大きなコンポートの皿部は、ほぼ水平に作られ、縁がわずかに反りあがっている。その中央には青色のガラスの鎖と、それに沿うように内側と外側に透明なガラスが、円環状に熔着装飾されている。この種のコンポートは、ダイヤモンド・ポイント彫りのほか、エナメル彩を施した作品も数多く残されている。


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2022年12月18日

展示作品のご紹介:コア・グラス香油瓶

展示作品のご紹介:コア・グラス香油瓶
コア・グラス香油瓶
(紀元前6世紀〜紀元前5世紀|東地中海沿岸域)

コア・グラスは紀元前16世紀頃、今から3500年程前に始まった最古のガラス製法の一つと言われている。金属棒に耐火粘土でコアと呼ばれる芯を作り、その周りに熔けた色ガラスを巻き付けて成形する。そして冷ましてガラスが固まった後に、内部の耐火粘土を掻き出して器に仕上げていた。

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2022年12月17日

展示作品のご紹介:獅子形水差

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獅子形水差
(16世紀中頃|ヴェネチア)

ヴェネチアのシンボルで、福音書記者 聖マルコを表す獅子を象った珍しい形の水差です。注ぎ口だった尾の部分と金属でできていただろう台座が欠失していますが、ヴェネチアの獅子らしい威風堂々とした姿をしています。同じ形で、レース・グラスで作られたものが、イギリスのジェームス・ロスチャイルドコレクションに収蔵されています。

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2022年12月16日

クリスマス ギャラリートーク

クリスマス ギャラリートーク
「クリスマス ギャラリートーク」
学芸員が、ヴェネチアン・グラスや現代ガラス・アートの見どころをご紹介します。(参加費無料)

開催日:12月24日(土)、12月25日(日)
時間:14:00〜、15:00〜(約20分、各回定員20名)
ヴェネチアン・グラス美術館入口に開始 5 分前にお集まりください。


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2022年12月15日

展示作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット

展示作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット
花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット
(1880年頃|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房)

ステム(脚部)の装飾が特徴である大型ゴブレット。脚部は、縦モールの入った円環の内側と外側にひれ飾りが施され、その中心部には白い花の装飾が熔着されている。坏身や脚台部は青みをおびた半透明乳白色のガラスを使い、幻想的な美しさをもつ作品に仕上げられている。これはヴェネチアン・グラスの伝統を踏襲しつつ、 新しい時代に合ったデザインを取り入れることによって、19世紀後半に大きな人気を博したサルヴィアーティ工房の典型的な作例である。ステムに施された過剰ともいえる装飾が、この作品の受け入れられた時代の美意識を物語っている。

展示作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット

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2022年12月14日

展示作品のご紹介:ガラスのプレセピオ「東方の三博士」

展示作品のご紹介:ガラスのプレセピオ「東方の三博士」
ガラスのプレセピオ「東方の三博士」
(20世紀・ヴェネチア)

右から
メルキオール:黄金を持って礼拝に来た博士。
バルタザール:乳香を持って祝福のために来た博士。
カスパール:没薬を持って礼拝に来た博士。


クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─


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2022年12月11日

展示作品のご紹介:ガラスのプレゼピオ「パウロ像」「ヨハネ像」

展示作品のご紹介:ガラスのプレゼピオ「パウロ像」「ヨハネ像」
ガラスのプレゼピオ「パウロ像」「ヨハネ像
(20世紀|ヴェネチア)
・若い姿で表現されたヨハネのひざまづく像。
・老人の姿で表現されたパウロが、祝いのラッパを吹く姿で表現されている。
キリスト生誕を表現した聖像シリーズは、19世紀後半から今世紀にかけて、ムラノ島の諸工房で作られ、いろいろな形式のものが残されている。

クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─

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展示作品のご紹介:聖母マリアと嬰児イエス・キリスト

展示作品のご紹介:聖母マリアと嬰児イエス・キリスト
聖母マリアと嬰児イエス・キリスト
(20世紀|ヴェネチア)
この作品は、蘢に寝かされた生誕のイエス・キリストと聖母マリアの礼拝像である。

キリスト生誕を表現した聖像シリーズは、19世紀後半から今世紀にかけて、ムラノ島の諸工房で作られ、いろいろな形式のものが残されている。この作品を含む生誕シリーズには、レース棒やミルフィオリ・グラス、金箔等の高度の伝統技術が使われており、熟練のマエストロが製作したものであることを示している。また、レース棒やミルフィオリの作り方、デザインに新しさが現れており、20世紀に入ってから作られたものであることは明白である。なお、この種の生誕シリーズの群像作品の中では、高度の卓抜した造形力を示している。

クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─


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2022年12月06日

展示作品のご紹介:人頭瓶

展示作品のご紹介:人頭瓶
人頭瓶
1世紀|出土地:東地中海沿岸域

ローマ帝国領内で、ローマ時代に作られたガラス器物をローマン・グラスと呼ぶ。紀元前1世紀後半に、シリア海岸周辺で吹きガラス技法が発明されるとガラス製品の生産が容易になり、急速に各地に伝播した。この頃のガラス器の主要な用途の一つが香油瓶である。当時、香油には良い香りを身にまとい、乾燥から肌を守る他に、皮膚病や頭痛の鎮静効果もあると考えられていた。ローマ時代の香油瓶は雫型等の単純な器形から、作品のような人面型といった複雑な形も作られ、その色も黄や青、紫と多彩であった。


クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─

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2022年12月05日

展示作品のご紹介:長頸瓶

展示作品のご紹介:長頸瓶
長頸瓶
(1世紀|東地中海沿岸域)

紀元前1世紀のシリアで吹きガラス技法が発明されると、高級品から日用品に至るまで、幅広い種類のガラス器を制作できるようになった。ガラス表面の玉虫色の輝きは、特定の条件がそろった際にみられる、「銀化現象」と呼ばれる長年の風化作用によるもの。


クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─


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2022年11月28日

展示作品のご紹介:磔刑図

展示作品のご紹介:磔刑図
磔刑図
(18世紀|ヴェネチア)

十字架上でのイエス・キリストの死は、5世紀以降様々な表現方法を用いて描かれてきた。この作品は磔刑図の他、四隅に四人の福音書記者、十字架上には傷口から流れ出たイエスの血を受け止める天使などが肉厚のエナメル彩により描かれている。
また、両足を十字架の横木に乗せ、二本の釘で固定されたイエスの姿や、十字架下のされこうべ等、東方正教会の影響が見て取れる。
新約聖書のマタイ福音書では、ゴルゴダの丘を「されこうべの場所」と記している。このされこうべは最初の人アダムのものだとされ、イエスがアダムの埋葬場所で、その子孫に救済をもたらす事を示している。

クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─

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2022年11月26日

展示作品のご紹介:アンポリーナ

展示作品のご紹介:アンポリーナ
アンポリーナ
(16世紀末−17世紀初|ヴェネチア)

ダイヤモンド・ポイント彫りで、2個の紋章を彫り込んだアンポリーナ。紋章の1個は枢機卿の帽子の下に、もう1個は王冠の下に表現されていて、その上下には唐草模様が彫刻されている。装飾的な把手、葡萄酒を注ぐ特有の長い注口、ブルーの縁取りと首巻きを付けた開口部と胴部が砂時計のような器形をしている点に、この時代の特徴がある。ドイツの有名なクルッグ・コレクションの旧蔵品の1点であった。


クリスマス企画
─ヴェネチアン・グラスで辿る祈りのキセキ─

展示作品のご紹介:アンポリーナ

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