箱根ガラスの森美術館

2020年07月04日

収蔵作品のご紹介:アイス・クラック瓶

収蔵作品のご紹介:アイス・クラック瓶
アイス・クラック瓶
(16〜17世紀初|ヴェネチア)

16世紀から17世紀初頭にかけて、ヴェネチアン・グラスの一技法として創出されたアイス・クラック技法は、作品を成形後、まだ熱く熔融状態にあるときに、冷水中に瞬間的に投入して、表面にマスク・メロンのような氷裂模様を入れる技法である。氷裂を入れた後に、火の中に入れて若干焼き戻して、亀裂の鋭角的な部分を滑らかに仕上げる。この技法は、レース・グラス技法とともにヴェネチアン・グラスの秘法の一つであった。アイス・クラック技法による作品には、瓶壷の他に鉢や杯  坏類など多種多様なものがあり、当時人気を博した技法の一つであったことがわかる。類似作品は、大英博物館やヴィクトリア・アンド・アルバート美術館、コーニング・ガラス美術館など、各地の美術館に収蔵されている。

収蔵作品のご紹介:アイス・クラック瓶

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2020年07月03日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス大皿

収蔵作品のご紹介:レース・グラス大皿
レース・グラス大皿
(17世紀|ヴェネチア)

このレース・グラスの大皿は、レース・グラスの技法の中でも、最も難しい綱目模様を構成する技法(レティチェッロ)で作られている。ヴェネチアン・グラスの最高作品として全ヨーロッパの憧れの的となっていたレース・グラスの中でも最高傑作の一つである。網目模様を一糸乱れないように作るのは極めて難しい技で、またガラスの厚さや、本体を均一に作っておかないと、遠心成形する際に変形してしまう恐れがある。この作品のように円形で歪みのない状態に作るには、相当の熱練した技術を持った、最高級の職人の技によってはじめて可能であっただろう。大英博物館をはじめ、世界の主要工芸美術館に類似作品が所蔵されている。
収蔵作品のご紹介:レース・グラス大皿

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2020年07月02日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス手付容器

収蔵作品のご紹介:レース・グラス手付容器
レース・グラス手付容器
(16〜17世紀|ヴェネチア)

1本の乳白色レース棒を成形するときに、右回しに巻き付けてこのようならせん模様を作ることができる。形が変形するために、器形を整えながら、整然としたらせん模様を作ることは難しい技術を要する。手付容器は、16〜17世紀に流行した器形で、把手も同時に作って両方の耳の中にいれて成形する。同形式の手付容器は、 ロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館や大英博物館などの他、各地の工芸美術館に収蔵されている。

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2020年07月01日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス樽形容器

収蔵作品のご紹介:レース・グラス樽形容器
レース・グラス樽形容器
(16世紀|ヴェネチア)

胴部中央が膨らんだ樽形の容器で、小さな気泡の入った無色透明の胴部は、下玉の段階でレース・グラス棒を4本横に巻いた後、モール型で成形されている。 レース・グラス棒を巻き付けた部分には金彩も施されている。また、胴部は木の樽に似せたのか、 浅い凹凸で縦に12分割されている。底部は台が熔着されていて、10分割されるとともに金彩が施されている。器の内側下部にアイス・クラック(氷裂模様)の入った中空の玉が付けられている点に特徴がある。ヴェネチアン・グラスには器の内部に玉を付けるという類例はあるが数は少なく、器とは別の色ガラスで作られている例もある。なお、この玉がどういう目的で付けられているかは不明である。形式と技法からヴェネチア製と推定されるが、チロル地方に移住したヴェネチア人のガラス工人によって作られたファソン・ド・ヴェニスである可能性もある。

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収蔵作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート

収蔵作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート
ダイヤモンド・ポイント彫りヴァンジェリスティ家紋章文コンポート
(16世紀末-17世紀初|ヴェネチア)

この作品は、ダイヤモンド・ポイント彫りの代表的な一例で、草花文様とヴェローナのヴァンジェリスティ家の家紋が彫刻されている。

大きなコンポートの皿部は、ほぼ水平に作られ、縁がわずかに反りあがっている。その中央には青色のガラスの鎖と、それに沿うように内側と外側に透明なガラスが、円環状に熔着装飾されている。この種のコンポートは、ダイヤモンド・ポイント彫りのほか、エナメル彩を施した作品も数多く残されている。


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2020年06月30日

収蔵作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りレース坏

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ダイヤモンド・ポイント彫りレース坏
(16世紀|ヴェネチア)

坏身にヴェネチアン・カットワーク・レースの模様が線刻された脚部の高いコンポート。脚部には型吹きされた獅子面の中空ステムが付けられ、台部にも線刻が施されている。16世紀初頭に、ヴェネチアから始まったダイヤモンド・ポイント彫りは、もともとヴェネチアの名高いレースの美しいデザインをガラスに移し入れようとして創案されたもので、ダイヤモンドの尖端を使って透明なガラスの表面に細かい線を彫刻する方法である。これは、その初期の代表的な作品である。

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2020年06月28日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス・コンポート

収蔵作品のご紹介:レース・グラス・コンポート
レース・グラス・コンポート
(17世紀初|ヴェネチア)

2種類のレース・グラス棒を並べ、イタリア語でレトルティと呼ばれる模様に仕上げたコンポートで、非常に薄く作られている。高脚台も、同じ模様のレース・グラスで作られているが、皿、高脚台それぞれ別に作り、熔着している。高脚台には、無色透明の紐状のガラスでぐるりと一周装飾がつけられている。高脚台の縁は内側に折り返してある。

収蔵作品のご紹介:レース・グラス・コンポート

収蔵作品のご紹介:レース・グラス・コンポート

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2020年06月23日

収蔵作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)

収蔵作品のご紹介:ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)
ダイヤモンド・ポイント彫りアンポリーナ(ミサ用葡萄酒瓶)
(16世紀末−17世紀初|ヴェネチア)

ダイヤモンド・ポイント彫りで、2個の紋章を彫り込んだアンポリーナ。紋章の1個は枢機卿の帽子の下に、もう1個は王冠の下に表現されていて、その上下には唐草模様が彫刻されている。装飾的な把手、葡萄酒を注ぐ特有の長い注口、ブルーの縁取りと首巻きを付けた開口部と胴部が砂時計のような器形をしている点に、この時代の特徴がある。ドイツの有名なクルッグ・コレクションの旧蔵品の1点であった。

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2020年06月19日

収蔵作品のご紹介:レース服の少女

収蔵作品のご紹介:レース服の少女
レース服の少女
(19世紀|ヴェネチア)
レースの服を身にまとった女性像。帽子やドレスは白いレース・グラスで作られ、清楚で上品な作品に仕上げられている。ふんわりと広がるドレスの袖やスカートは、女性の愛らしさが感じられる。


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2020年06月15日

収蔵作品のご紹介:獅子装飾乳白瓶

収蔵作品のご紹介:獅子装飾乳白瓶
獅子装飾乳白瓶
(18世紀頃|ヴェネチア|ミオッティ工房)

中国よりマルコ・ポーロが持ち帰った白磁器に驚嘆したヨーロッパの多くの人々は、その美しい白磁を手に入れようとしたが、ヨーロッパでの磁器発明は18世紀になってからのことであった。
それまではこのような乳白色ガラスが模造磁器として作られていた。乳白色ガラスはイタリア語でミルクを意味する“ラッテ”から“ラッティモ”と呼ばれる。この作品は、ヴェネチアで代々ガラス工房を営むミオッティ工房による作品で、瓶の中央にはヴェネチアのシンボル聖マルコのライオンが、型押しで付けられている。

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2020年06月13日

収蔵作品のご紹介:花弁文コンポート

収蔵作品のご紹介:花弁文コンポート
花弁文コンポート
(16世紀|ヴェネチア)

皿部には、稜線が入っており、皿部、台部ともに緑に折り返しがある。開口部周辺は、鱗文を金彩で、点彩花文をエナメル彩で装飾している。 また中心部には、花弁を思わせる幾何学模様が金彩で施されており、その中に、赤、青、緑などの色の点彩花文が描かれている。

収蔵作品のご紹介:花弁文コンポート

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2020年06月12日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス白鳥形脚コンポート

収蔵作品のご紹介:レース・グラス白鳥形脚コンポート
レース・グラス白鳥形脚コンポート
(19世紀|ヴェネチア)
ヴェネチアン・グラス伝統のレース・グラスを坏身に使い、19世紀に人気を博した鳥形の装飾脚を付けたコンポート。台は周縁部を折り返し、接地部を補強するヴェネチアン・グラス独特の技法で作られている。

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2019年04月18日

収蔵作品のご紹介『TORO(雄牛)』

収蔵作品のご紹介『TORO(雄牛)』
TORO(雄牛)
(1954年|ヴェネチア|P.ピカソ-E.コスタンティーニ)

スペイン出身のパブロ・ピカソは、牛や闘牛をテーマとした作品を以前から制作していたが、1954年にエジディオ・コスタンティーニと出会い、ガラス彫刻の制作に参加した。ガラスの雄牛は、宙吹き技法で背の盛り上がりや、全体のボリュームを表現しながらも、ガラス特有の軽やかさを生かした作品となった。また、雄牛の角の下には、不思議な表情をした顔のような表現もされている。ピカソは、心の動きや精神が現れる「顔」を表現した様々な作品を多数制作している。

ピカソ・シャガールたちのヴェネチアン グラス彫刻展


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2018年08月16日

ガラスの泉 LA FONTANA DI VETRO

ガラスの泉 LA FONTANA DI VETRO
ガラスの泉 LA FONTANA DI VETRO
(1996年|池原義郎・リヴィオ・セグーゾ)
「ガラスの泉」の中央にある作品「ナシタ」は生命の誕生というテーマを持つ、開きかかった透明の殻と内部の楕円形のフォルムによって構成されています。この作品は、ヴェネチアを代表するガラス作家であるリヴィオ・セグーゾ氏が制作し、当美術館の設計者である池原義郎氏による大理石の噴水上に設置するという形で共同制作されたものです。

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2018年02月28日

収蔵作品のご紹介:月

収蔵作品のご紹介:月
収蔵作品のご紹介:月
(1960年|ヴェネチア│ジャン・コクトー、エジディオ・コスタンチーニ作)

ジャン・コクトーは、エジディオ・コスタンチーニの巨匠によるガラス彫刻シリーズの企画にもっとも積極的に賛同した作家の一人で「Fucina degli Angeli」という画廊の名称も、コクトーが名命した。
この作品は、三つの顔をもつ「月」シリーズの一点で、コクトーが立合って製作した作品である。作品には、画廊名と製作日、エジディオ・コスタンチーニのサインが入れられている。

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2018年01月18日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス樽形酒器

収蔵作品のご紹介:レース・グラス樽形酒器
レース・グラス樽形酒器
(17世紀|ヴェネチア)
黄色と乳白色のガラスのレース棒で樽形に作った酒器。首部の両側に付けられたひれ飾りは、16〜17世紀の形式で、ヴェネチアン・グラス特有のもの。レース・グラスで作られたこのような酒樽形の容器は珍しい例で、現存する類例は、ドイツの個人コレクションなどに数例みられるのみである。

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2018年01月16日

収蔵作品のご紹介:ドルフィン形脚赤色コンポート

展示作品のご紹介:ドルフィン形脚赤色コンポート
ドルフィン形脚赤色コンポート
(19世紀|ヴェネチア|サルヴィアーティ工房)
宙吹き、モール装飾、熔着装飾、金箔熔着

ルビー・レッドと呼ばれる赤色ガラスで作られたコンポート。坏身はモール型で菱形をつけた後、宙吹きで仕上げられ、口縁部はこてを使い花びらのように形作られている。緑は外側に折り返されている。台も同じ赤色のガラスで作られ、坏身と台を無色透明のガラスに金箔熔着したドルフィン形の脚がつないでいる。


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2018年01月13日

収蔵作品のご紹介:レース・グラス蓋付ゴブレット

収蔵作品のご紹介:レース・グラス蓋付ゴブレット
レース・グラス蓋付ゴブレット
(16世紀末-17世紀初頭|ヴェネチア)

一般にレース・グラスと呼ばれる技法の中でも、レトルティという厳密な意味での最もオーソドックスな技法によるレース・グラスである。15、6世紀に、ヴェネチアでは特産のレースが世界的な名声を馳せ、ヨーロッパ貴族の憧れの的となっていた。その名だたるレース文様を、何とかして、無色透明のガラスの中に封じ込めないものかと、ムラーノ島のガラス職人たちは技巧の限りを尽くして、その創作に取り組んでいた。レース文様の入ったガラス棒を引くことはそれほどむずかしくないが、作品の完成まで器のレース文様を崩さずに仕上げるのには高度な熟練技術を要する。とりわけ、この蓋付ゴブレットのレース文様は、少しの乱れもなく、美しく優しい曲線の器形とともに、レースのコスチュームをまとった優雅な貴婦人のイメージをたたえた作品として、世に知られている。

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2018年01月11日

収蔵作品のご紹介:メディチ家紋章文コンポート

収蔵作品のご紹介:メディチ家紋章文コンポート
メディチ家紋章文コンポート
(16世紀初|ヴェネチア)

エナメル彩で紋章と、縁取りの点彩文様を装飾したコンポートである。モール型を使って、縦稜線を吹き出し、右方向に回転しながら吹いたガラスを整えてゆくと、矢車状に稜線が出来上がる。これにラッパ状の高脚を付け、開口部を皿状に広げて完成させる。紋章はローマ教皇の三層宝冠を上部に配していることから、メディチ家出身の教皇レオ10世又はクレメンス7世のものと推定されている。これと同似の作品が数点現存していることから推測すると、教皇就任を記念して制作され、特定の人に配布された記念の高坏であったと考えられる。なお、このコンポートは高脚部分が欠失している。

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2017年03月13日

収蔵作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット

収蔵作品のご紹介:花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット
花装飾脚オパールセント・グラス・ゴブレット
1880年頃 ヴェネチア
サルヴィアーティ工房
宙吹き、モール装飾、熔着装飾

脚部は、縦モールの入った円環の内側と外側にひれ飾りが施され、その中心部には白い花の装飾が熔着されている。坏身や脚台部は青みをおびた半透明乳白色のガラスを使い、幻想的な美しさをもつ作品に仕上げられている。これはヴェネチアン・グラスの伝統を踏襲しつつ、新しい時代に合ったデザインを取り入れることによって、19世紀後半に大きな人気を博したサルヴィアーティ工房の典型的な作例である。ステムに施された過剰ともいえる装飾が、この作品の受け入れられた時代の美意識を物語っている。

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